かんぼつの雑記帳

日々考えたこと、感じたことを気ままに投稿しています。更新は不定期ですがほぼ月一。詳しくはトップの記事をお読みください。

メモ

雑記06(倒錯とか、夢見りあむとか)

フロイトの有名な言葉に「倒錯は神経症の陰画である」というものがある。最近僕はなんとなくその言葉が気になり始めている。 一般的に倒錯というと色んなものがあるが、基本的にフロイトのいう倒錯には二つの特徴があるように思う(最近フロイトのテクストを…

三日月・オーガスのこと:「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」第1期(第1話~第25話)レビュー

0,はじめに 1,三日月・オーガスはなぜ魅力的なのか① 2,三日月・オーガスはなぜ魅力的なのか②−−痛快さ 3,三日月・オーガスはなぜ魅力的なのか③−−ガエリオへの怒りから 4,三日月・オーガスはなぜ魅力的なのか④−−ミカのリアル 5,おわりに 0,はじめに 先日「機動…

『Fate/Grand Order 徳川廻天迷宮大奥』感想

『Fate/Grand Order』というゲームがある。かの有名なFateシリーズのうちの一作で、幾万とあるスマートフォン向けアプリゲームのなかでもかなりの人気タイトルとして知られているものである。その最大の特徴はなんといっても壮大なシナリオで、その執筆陣に…

作品を人と語ることについて

0,はじめに 以前、ある記事で、僕はなにかを好きでいるためには努力をする必要があるといった。そしてその努力の具体的な内容として、好きを言語化するための作業や、コンテンツにかかっている文脈を追う作業の必要性について書いた。 この記事は11月に書…

キャラクターとカリスマ

一時期、物語論の研究で、ひたすら脚本のハウツー本とか小説創作論とかシナリオハウツー本とかを図書館で渉猟していたことがあった。そんな時期に見つけた文献の一つに感情で書くなんたらとかいうものがあって、これはざっくりいえば、三幕構成とか起承転結…

『プラダを着た悪魔』とハラスメント

最近、ふと思い立って『プラダを着た悪魔』のDVDをレンタルショップで借りたのだが、見るやいなや、その内容にちょっとびっくりさせられてしまった。ネタバレを極力避けてその内容というのを掻い摘んで説明すると、まず本作はメリル・ストリープ演じるミラン…

好きでいるための努力

大昔に『化物語』を読んだとき、強烈に印象に残ったことがある。それは八九寺真宵の「好きなものを好きでいるために努力することは不純なことではなく大事なことなんだ」という旨のセリフだ。 一方には、ほんとうに好きならば、それを好きでいるために努力す…

隈、陰キャ、三白眼、ゾンビ

とくに突っ込んだ話はしません。きわめて私的な話になっています。 ☆ 誰にでも変わった趣味嗜好のひとつやふたつはあるものだ。もちろん、僕にも例外なくそんな趣味嗜好が存在する。 それに最初に気づいたのは、大学生の頃だったと思う。僕はある日、『下ネ…

雑誌について

僕ぐらいの世代の人間には珍しくないのだろうが、僕は雑誌に興味を持ったことがなかった。ジャンプ漫画は単行本派で、本誌をコンビニで立ち読みしたり買って読んだりすることもない。サブカルチャー・思想・文学・読書文化など、僕が好きそうな分野の専門誌…

雑記05(偶然について)

最近ぼんやりと二つの偶然の違いについて考えている。 一方で、三島由紀夫やスピノザがいうように、世界はくまなく必然的な因果法則から成っているため、偶然とは単に人間の認識の不十分さによる錯覚にすぎない(ほんとうは全て必然だ)、というようなときの偶…

雑記04(視線)

人間とそれ以外の動物を区分けしたり、人間性のある(あるいは本来的な)人間とそうでない人間を区別するときに、反省の有無を持ち出す論法は、様々な分野で見られる。つまり、自分を意識する存在こそが人間であり、そうでないものは自分を意識しない。こうい…

わからない感覚について

最近ぜんぜんブログを更新していなかった気がしたので、定期的に更新する義務もないのだけれども、このまま書かないと永遠に書かない気がしてそれはちょっと自分にとって損失だなという気がしたので、何かを書くことにした。こういう経緯があってなかば書く…

人生と夢

1, 三島由紀夫は認識と行動という二元論を終生唱えていた。そしてそれはそれ自身彼の葛藤の表現でもあった。この葛藤というのは、簡単にいえば、なにかを意識することと、それを生きているということのあいだにある、埋めがたいズレに苦しむことである。ひと…

アイデンティティとその周辺

昔書いて途中でやめた原稿に自分語りをくわえたエッセイになります。 ☆ アイデンティティという言葉はよく人口に膾炙した言葉ですが、そのルーツを知っている人は意外と少ないのではないかと思います。ふつうに使われている言葉ほど、そういう傾向がある気が…

規定と反省ーー作品を論じるということあるいは考えるということ

0, とあるところで自分の研究について発表する機会があって、人に批判された。その批判の内容は、作品について語る際、それに用いる枠組みと作品との対応関係がちゃんととれていない、というものである。つまり簡単にいえば、たんなる雑な当てはめだというこ…

『サクラクエスト』雑感

最近知能の著しい低下を感じます。エッセイです。 ☆ 最近、ア○ゾンプライムビデオ(なぜ伏字にしたのかはわからない)のせいでアニメ中毒になりつつある。最近見たものを列挙すれば、そのなかで今放映してるアニメを除いても、『Re:ゼロから始める異世界生活』…

コミュニケーションの哲学② ーー敵対と友好

コミュ障の屈託です。なおナンバリングしてますが続き物ではありません。 ☆ 前々から疑問に思っていたことがある。たとえば、よくある失恋の代表例として「優しい人どまり」というものがあるが、あの例は僕の疑問にとって非常に示唆的な気がする。なぜ優しい…

コミュニケーションの哲学①――議論と雑談

コミュ障の屈託です。なおナンバリングしてますが続き物ではありません。 ☆ 以前、僕は会話の持続について文章を書き、noteで公開したことがある。本記事は、ようするに、その過去の文章を一部直して転載したものである。この転載を行った理由は、別にもう一…

アルバイトをしていて思ったこと(学習と保守性)

エッセイです。 ☆ 僕は長い間ひとつのアルバイトを続けている。飲食店の厨房業務である。入りたての頃は物覚えが悪く、先輩にどやされたこともよくあった。しかし今は職場のなかでもかなりのベテランで、当然、平均以上には仕事ができる。 しかし、僕は新人…

雑記03(過去と物語の時間)

最後にちょこっとだけ『東京レイヴンズ』『Re:ゼロから始める異世界生活』『魔法少女まどか☆マギカ』『Fate/stay night』セイバールートについて言及します。これはメモ書きというかアイデア出しの段階ですが、ここから論旨を詰めていきたい…。 ☆ 欲望につい…

雑記02(超越と無関心)

いろんな研究と並行してラカンについて勉強しているので、そのことについての覚書。独学かつ俄かなので概念の理解の妥当性については保証しかねます。 ☆ シェーマLにおいて、小文字の他者たちの軸(a-a')における鏡像的闘争は、もう一つの軸(他者A-主体S)に横…

雑記01(贈与と時間)

メモがわりに。 ☆ 贈与と交換の違いのひとつは、時間という観点から考えたときに明らかになる。交換するとき、私たちは物と物を即座に取り替えるから、貸し借りはほとんどないようなものである。これは(クレジットカードでの支払いなどの形式を除けば)基本的…

『夜廻』の眼(補遺:『東京レイヴンズ』における犠牲の役割)

1月末までになんか載せたいなと思ってたんですが無理でした。とりあえずまとまってないですがネタを放出しておきたいと思います。 0, PSVitaで遊べるゲームに『夜廻』というものがあります。この作品はホラーゲームで、行方不明になったお姉ちゃんのために、…

笑いについて

0, 先日、M-1グランプリ(お笑い芸人たちがトーナメント方式で漫才の出来を競う番組)を見ていて、ふと気がついたことがあった。それは観客たちの笑い声が生じるタイミングに関することで、よく観察(聴察?)してみると、ほとんどの場合彼らはボケの冒頭ないし…

アニメ『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』の物語構造について

※注意…全面的なネタバレを含みます。 0, 先日、友人から唐突にLINEが来て、母校(大学)の文化祭に行かないか、と誘われた。われわれが卒業した大学は美術系の大学だけあって、その文化祭にはなかなか見応えのあるものがたくさんある。とはいえ、既に四年間も…

「感情の運動」について

このまえTwitterをなんとはなしに眺めていたら、感情の運動という話題が流れてきたのだけれども、今回はそのことについて思ったことを備忘録がわりに書いておきたいと思う。このまえといっても一ヶ月ほどまえの話なのでリンクを貼れないのが残念だが、おそら…