かんぼつの雑記帳

日々考えたこと、感じたことを気ままに投稿しています。更新は不定期ですがほぼ月一。詳しくはトップの記事をお読みください。

スピッツの好きな楽曲20選(思いついた順)

実は幼い頃からスピッツを聴いていて、すごい影響を受けているのですが、いままでそのことについて考えたことも語ったこともなかったなと思い、今回語ってみることにしました。基本的には思いついた順に好きな曲を20曲。おしながきは以下のようになっております。

 

 

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1,ハチミツ

 

同名のアルバムに収録された曲で、かなりユニークなメロディーラインを持つ、ポップでかわいい曲。くわえて個人的なことをいうと、子供の頃に読んで強い影響を受けた『ハチミツとクローバー』という少女漫画の元ネタ? でもあります。「ガラクタばかりピーコートの/ポケットにしのばせて/意地っ張りシャイな女の子/僕をにらみつける」とか、もうハチクロでしかないですね…。はぐちゃんとかはここからインスピレーションを得て造形されたキャラクターなのかなと勝手に思っています。

個人的に好きなポイントはやっぱり特徴的なメロディーと可愛さです。こういうタイプの可愛い曲を作れるロックバンドってあまりないんじゃなかろうか…ようしらんけど。

 

2,みなと

 

あたたかくて切なくて優しい、という、Theスピッツな一曲です。メロディーも美しく、入りのギターなんかすごい好きですね。加えて歌詞が良すぎる。

たとえば、「汚れてる野良猫にも/いつか優しくなるユニバース」という一節。∀ガンダムでも見たのか知りませんが、なんか草野マサムネはユニバース(ないしユニヴァース)という単語が好きらしく、ちょくちょくほかの楽曲にも出てくる(曲名になっているものもある)んですよね。このユニバースはそのなかでも一番好きなユニバースかもしれません。汚れてる野良猫に優しいユニバース、すごく優しそう(こなみ)。

それから「朝焼けがちゃちな二人を染めてた/あくびして走り出す」とかもいいですね。情景がすっと頭に浮かんでくるし、草野さんが描くいつものいい感じの二人なんですよね。僕も朝焼けに染められたちゃちな二人の一翼を担いたいものです。

歌詞全体を読んでいくと、なんとなく別れとか旅立ちについて、見送った側から歌っている曲だと解釈できますが、こういう見送る系の曲はちょくちょくある気がします。たとえば「魔女旅に出る」もそうですね。

なお、これは僕だけだと思いますが、僕が大好きな漫画に萩尾望都の「アメリカン・パイ」という短編があって、みなとを聴いてるといつもこの漫画のことを連想してしまいます。ぜんぜん違う作品といえばそうなんですが、ただモチーフに若干の共通点があるんですよね。

 

3,魔女旅に出る

 

 独自の世界観が素晴らしい曲です。歌詞は途中もさることながら最初と最後がほんとうによくて、一番冒頭の「ほら苺の味に似てるよ」という天才的な導入と、サビの最後の「いつでもここにいるからね」が好きすぎるという…。

 メロディーは歌唱部分より序奏とか途中で入るバイオリンのくだりとかのほうが好きかもしれません。すごい好きな曲ではあるのですが、楽器とか音作りの知識がないためにこれ以上語れず…そういう教養が欲しいですね。音楽雑誌を読め。

 

4,三日月ロックその3

 

 その1とかその2がないのに唐突にその3とか言い出すあたりがもうほんとうにセンスの塊だなって感じなんですが、それはともかくとてもいい曲です。昔すごい流行っていた「あいのり」という番組のオープニングで使われていた「スターゲイザー」という曲が収録されたシングルのB面なのですが、今にして思うとこの二つが収録されてるシングルって強すぎるだろ…と戦慄を禁じ得ません。あとこれもまたその3案件というかセンスの塊エピソードで、スピッツにはじつは『三日月ロック』というアルバムもあって、何も知らない人がこの曲とアルバムのタイトルを知ったら、とうぜんこのアルバムにこの曲が収録されてるだろうと思うわけなのですが、そこはスピッツのセンス、なぜかこのアルバムにはこの曲が収録されてないんですよね。いやなんでだよ。

 とにかくこの曲はメロディーが全編にわたってかっこいい曲ですが、歌詞も印象的な箇所がちらほらあります。たとえば「抜け出したい気持ちなら/桜が咲くたび現れる/わかってくれるかな?/君なら」とか「待ちわびて/シュールな頭で/ただ君を想う」とか、もうぜったい草野マサムネ以外には書けないヘンテコな歌詞なんですが、なぜか響きがよくて、しかもなんとなく言いたいことがわかっちゃうんですよね。不思議です。

 

5,スカーレット

 

 子供の頃からずっと聴き続けている曲のひとつです。ところで子供の頃ってエレベーターをエベレーターっていったりだとか、言葉に関するヘンな勘違いをしているものですが、この曲についてもそういう勘違いをしていたことがあります。この曲、サビの手前に「乱れ飛ぶ声に/かき消されて/コーヒーの渦に溶けそうでも/ゆらめく陽炎の/向こうから/君が手を伸ばしたら」というフレーズがあるんですが、昔の僕はこの「コーヒーの渦」というのを「恋の渦」だと勘違いしていたんですよね。いやでも恋の渦って完全に凡夫の発想でしかなくて、もう幼少期から草野マサムネとの圧倒的なセンスの差を見せつけられているという。悲しい話です。

 ともあれ、なんというかこの曲の歌詞はこういうヘンなところが随所にありつつも比較的ふつうっぽくて、この時期の曲の歌詞はそういうのが多い気がしますし、メロディーもユニークではあるもののキャッチーですっと聴ける感じがします。とにかくいろいろヒットさせて名を一度売っておこうと作風を一般的なほうに寄せて頑張っていた時期でもあるんでしょうか。よく知らないのですが…。

 歌詞の内容自体に言及すると、寂しさとか悲しさとかを温度の比喩で表現しようとしているのかなと感じます。その観点から考えるとコーヒーの渦もあたたかいものの比喩なのか…でもちょっとこのくだりは謎めいていてよくわからないですね。

 

6,ナナへの気持ち

 

 スピッツの曲のなかでもかなり好きな方の曲です。メロディーはそうでもないのですが、冒頭の「笑いすぎ? ふふふ」みたいな女性の声と、歌詞で描写されるナナの人物像がいちいちツボで、あーこういう女の子いいなあと素直に思います。それから、この歌詞は全編通してナナに恋をしていると思しき男性? の視点からの語り、という形式で書かれているのですが、この二人の関係性もまたぐっとくる。

全体の構成としては、一番はナナの人物像描写で、二番はこの語り手とナナの関係性描写を展開している、という塩梅です。

 まずナナの人物像はこんな感じ。「誰からも好かれて/片方じゃ避けられて/前触れなく叫んで/ヘンなとこでもらい泣き」「たまに少しクールで/元気ないときゃ眠いだけ」「お茶濁す言葉で/周りを困らせて」やばいですね。現実にいたらめんどくさそうだしたぶんこの女KYですが、それがむしろいいみたいな。グッときます。なんで僕の人生にはナナがいないんだ。

 とはいえ、これはあくまで行動とか性格面の話で、じゃあ見た目はどうなのかというとこんな感じ。「ガラス玉のピアス/キラキラ光らせて」「日にやけた強い腕/根元だけ黒い髪」んー結構ギャルっぽい人なのかな? よくわからない。でもまあとにかくいいですね(語彙力)。これが一番の部分です。

 で、二番になると、この語り手とナナは結構仲が良いっぽいということが示唆されます。「街道沿いのロイホで/夜明けまで話し込み」いやこういう関係性憧れますね。尊い…。

 で、このあとこんなふうに続きます。「何もできずホームで/見送られる時の/憎たらしい笑顔/よくわからぬ手ぶり/君と生きていくことを決めた」、これはもう完全に語り手ベタ惚れですね。そしてこの語り手視点の別れの情景を思い浮かべてしまったが最後、聴き手は語り手の目を通して完全にナナの魅力の虜になっているというわけです。

 個人的にスピッツの曲ってざっくりかっこいいやつと、優しくてあたたかくて切ないやつと、ユーモラスでポップなやつと、変態性の強いやつに分かれるのですが、この曲は一番最後のに分類されるかなという感じです。変態で繊細な思春期童貞って感じで、とてもよいのではないかと。

 

7,ラズベリー

 

 これも変態系で、とりわけスピッツ特有のキモいマゾヒズムが前面に出てる曲ですね。「もっと切り刻んで/もっと弄んで」とか言い出すし。でもユーモラスでポップでもあるし、僕の中では歌詞の中に魔女とか出てくることもあって、「魔女旅に出る」となんとなく近い気もする曲です。あとこれは僕だけだと思いますが、この曲を聴くといつもナボコフの『ロリータ』を連想してしまいます。

 この曲、ほんとに開幕から飛ばしていて、初手が「泥まみれの/汗まみれの/短いスカートが/未開の地平まで僕を戻す」ですからね、完全に犯罪者です。ちなみにこの泥まみれとか汗まみれとかの汚さの美学があるところが僕が個人的に『ロリータ』っぽいなと思うところで、ハンバートさんもこういう汚さが好きなんじゃないかなとか勝手に思っていたりします。

 あと変態性云々を抜きにしてもいいフレーズはいっぱいあって、たとえば「しょいこんでる間違いなら/うすうす気づいてる/でこぼこのゲームが今始まる」とか「穴を抜けてこっちへおいでと/五円玉のむこうから呼ぶよ」とか、意味深で面白い歌詞だなあと思います。五円玉のむこうからとか、ふつう思いつかないフレーズですよね。いや死ぬまでに一度誰かを五円玉のむこうから呼んでみたい。これもなんかエロティックな比喩なんでしょうか。よくわかりませんが…。

 

8,初恋クレイジー

 

インディゴ地平線』という結構僕が好きなアルバムのなかに入ってる曲で、このアルバムはほんとうに名曲が多いと思うのですが、そのなかでなんでこれを選んだのかというと、個人的な思い出があるからです。小学校高学年の頃にこの曲と川上弘美の恋愛小説からインスピレーションを得て掌編連作ものの恋愛小説を書いたという黒歴史がね、あるんですね。

 やはりこれも歌詞がいちいちよくてですね、たとえば「夢の世界とうらはらの/苦し紛れ独り言も/忘れられたアイスのように溶けた」とかは比喩が的確ですし、「優しくなれない時も/優しくされない時も/隠れた空は青いだろう/今のまま」とかもなぜかよくわからないんですがグッときますね。

 あと僕のようなキモ・オタクにもいちおう初恋の思い出というものはあるわけですが、その経験に照らしてすごく共感したのは「見慣れたはずの街並も/ド派手に映す愚か者/君のせいで大きくなった未来」とかでしょうか。

 

9,スピカ

 

この曲の評価については完全にハチクロ補正が入っているのですが、それを抜きにしてもすさまじい名曲で、しかもありえんやばいのは、この曲が「楓」のB面ってことですね。なおハチクロのアニメ版では竹本くんというピュアっピュアな男の子が自分探しでどっかの県道を自転車で走ってるときに流れる曲なのですが、いやここで使うかスタッフずるすぎるだろと。ちなみにハチクロのアニメ版はスガシカオスピッツの入門にいい作品ですね。

歌詞はスピッツにしては珍しく? です・ます口調で、ちょっとユーモラスな雰囲気が漂います。「振り向けば/優しさに飢えた/優しげな時代で」とか、グッとくる箇所ですかね。

ここまでいろいろ書き連ねて気がつきましたが、やっぱり僕、メロディーが好きで選んでる曲については全然語れないですね。言語化するための知識と教養がない。悲しいことです。でもこの曲はほんとうにいい曲なので、この記事読んで興味を持たれた方はぜひ聞いてみてください。

ちなみに椎名林檎版も存在します。

 

10,猫になりたい

 

スピカと同じ『花鳥風月』というアルバムに入っています。この『花鳥風月』というアルバムは確か他のアーティストに提供した楽曲のセルフカバー版とかB面の曲とかを集めたもので、前者について言えば、有名どころだとPUFFYの「愛のしるし」のセルフカバーとかが収録されています。

この曲は一見可愛らしいメロディーや音色で作られているのですが、歌詞を見ていくとちょっと奇妙で変態っぽいところがあります。まあ猫になりたいっていう欲望がもうちょっとアレですよね。いや猫になりたい欲自体は全人類が持ってるくらいのメジャーなものだと思いますが、この曲の場合猫になって「君」の腕の中で抱かれるまでがセットなので…。

個人的には「目を閉じて浮かべた密やかな逃げ場所は/シチリアの浜辺の絵ハガキとよく似てた」とか「街は季節を嫌ってる」とかいった箇所がグッときますね。シチリアの浜辺じゃなくてシチリアの浜辺の絵ハガキなのがうまいなあと思います。

 

11,放浪カモメはどこまでも

 

すごくユーモアたっぷりで爽快感のある、気持ちのいい曲です。いやユーモアとかユーモラスとか使いすぎでそれ以外に語彙がないのかよという感じですが、悲しいことにその通りですね。スピッツの曲をずっと聴いているはずなのにこれはどうしたことか。

歌詞についていうと導入がすごくよくて、「悲しいジョークでついに5万年/オチは涙のにわか雨」「でも放浪カモメはどこまでも/恥ずかしい日々/腰に巻きつけて/風にさからうのさ」という一連のフレーズの、陰湿さに陥らない自己諧謔とペーソス、そこにちょっぴり足された爽やかさがなんともいえずいい味を出しています。実際この一連の流れはメロディーともに完璧なので、ここを語るだけでこの曲の良さは言いあらわせるという感じがしますね。

 

12,ジュテーム?

 

こう、恋愛ソングのひとつのパターンとして、「君」を好きになったせいで自分はみっともなくなったとか、バカみたいになってるとか、そういうことを歌うものがありますが(ぱっと思いつくものでいうと青ブタOPの「君のせい」とかですかね)、この曲もそういう恋愛ソングの一つです。でもやっぱりスピッツ節がところどころに利いていて、「カレーの匂いに誘われるように/夕闇を駆け出す生き物が」とか意味がわからなくていいですね。

それからグッとくるところでいうと、「うれしいぬくもりに包まれるため/いくつもの間違い重ねてる」とか、「別にかまわないと君は言うけど/適当な言葉がみつからない/ジュテーム…そんなとこだ」とか、はーよきってなります(語彙)。たぶん君のことが好きなんだけど、その気持ちに振り回されたり、その気持ちをどうとらえていいかわからなくて、どうしたものかなと困っている、そんな気持ちが表現された歌です。

 

13,魔法のコトバ

 

これもたぶんに評価にハチクロ補正がかかってますが、それを抜きにしても掛け値無しの名曲です。スピッツの曲にインスピレーションを得て作られた漫画の実写劇場版のテーマソングをスピッツが書き下ろしたらこうなるよという曲な訳ですが、スピッツがなんかのテーマソングを作るときの原作理解力って本当にすごくて、そりゃスピッツに影響された作品のテーマソングなんだからぴったりで当たり前だろと言われちゃえばそれまでなのかもですが、ほんとうに「ハチクロ」って感じのする曲ですごくて、でもちゃんとスピッツらしさもあるという。自分でも何言ってんだかわかんねえよ。

どこらへんがハチクロっぽいかというと、僕はメロディーについては語れないのでいいとして()、歌詞についていえば「君は何してる?/笑顔が見たいぞ/振りかぶって/わがまま空に投げた」とか、ちょっと竹本くんっぽいなと思ったりしてます。あとサビ部分の「魔法のコトバ/二人だけにはわかる/夢見るとか/そんな暇もないこの頃/思い出して/おかしくてうれしくて/また会えるよ/約束しなくても」なんかは、漫画版のラストシーンのそのあとっぽいかも。余談ですが、あのラストシーンはちょっと萩尾望都の『トーマの心臓』のラストと似てる気がします(雑な連想)。

あと、これは楽曲自体の話ではないのですが、この時期のCDジャケットのイラストは全般的に好きです。福田利之さんという方の手になるものらしいですが、色遣いとか世界観がすごくいい。

 

14,田舎の生活

サビ部分以外が5拍子という変則的な曲です。メロディーからしてちょっと暗い感じで、しかもタイトルから田舎の生活について描いた曲なのかと思って歌詞をよくよく読んでみると、「君」との田舎の生活を夢みてたんだけど結局二人は別れることになってその夢は叶いませんでしたっていう、街住みの人の歌っぽいんですよね。く、暗すぎる…。感傷マゾかよ。

でもそこで妄想されてる情景はありえんよくて、たとえばこんな感じ。「なめらかに澄んだ沢の水を/ためらうこともなく流し込み/懐かしく香る午後の風を/ぬれた首すじに受けて笑う/野うさぎの走り抜ける様も/笹百合光る花の姿も/夜空にまたたく星の群れも/あたり前に僕の目の中に」「一番鶏の歌で目覚めて/彼方の山を見てあくびして/頂の白に思いはせる/すべり落ちていく心のしずく/根野菜の泥を洗う君と/縁側に遊ぶ僕らの子供と/うつらうつら柔らかな日差し/終わることのない輪廻の上」。

いや、草野マサムネ天才か?

 

15,ブチ

ファンには全然違うだろと言われるかもしれませんが、個人的には「ナナへの気持ち」系の萌える歌です。「ブチ」は基本的にここでは語り手が好きな相手のちょっとした欠点の比喩ですが、いや君はむしろそれがいいんだよ! というふうに肯定していく内容になっていて、なんていうか、一種のポンコツ萌えの歌です。いや萌え豚の語彙で語るなって感じですね、ごめんなさい。

一番そういうこの曲のコンセプトがあらわれているのは、たとえばこんなくだり。「君はブチこそ魅力/好きだよすごく/隠れながら/泣かないで/yeah yeah」「お上品じゃなくても/マジメじゃなくても/そばにいてほしいだけ」。ここらへんのくだりを聴いてるとなぜか『ホテル・ニューハンプシャー』のスージーが連想されてむしょうに泣けますね。自分でも謎の情緒です。

でも僕が個人的に好きな箇所はもっと別のところにあって、たとえば「しょってきた劣等感その使い方間違えんな」とか「優しくない俺にも/芽生えてる/優しさ風の思い」とかすごく共感できるし、「君はブチこそ魅力/小町を凌ぐ/本気出して/攻めてみろ/wow wow」のお前煽ってんの?感なんかすごい好きです。いや必ずしもザ・名曲って感じではないと思うんですけど、ユニークで、心に残るいい曲です。

 

16,エスカルゴ

腰を抜かすくらいカッコいいロックで、最初のありえんカッコいいドラムからボーカルが入るまでの一連の流れでもうガーンとやられる感じがします。しかも題材というか比喩がカタツムリて、と思うのですが、歌詞を見るとめっちゃかっこいいカタツムリ。

たとえばこんなくだり。「孤独な巻貝の外から/ふざけたギターの音がきこえるよ」。ひょええええええ。それからサビの部分。「ハニー/君に届きたい/もう少しで道からそれてく/何も迷わない/追いかける/ざらざらの世界へ」。ざらざらの世界ってなんだよ…意味わかんねえよ…でもなんかすごいかっこいいよ…。

僕的には今まで聴いてきたスピッツの楽曲のカッコいい系のなかでいちばんカッコいい曲です。

 

17,ハイファイ・ローファイ

ちょっとテンション高めに、ポップに、愛を叫ぶ歌です。聴いていて爽快感があって、気持ちいい曲ですね。でもたとえば「Fly high!甘い/囁きにも/フラフラと」みたく、ちょっとしたマゾっぽさというか、ファム・ファタールフェチというか、籠絡されたい欲みたいなのが出てる部分もあって、そこはスピッツらしいねじくれがあっていいなと思います。

あと、上の歌詞の「Fly high!」と「甘い」みたいな韻を踏んでる箇所が随所にあって、そのなかで一番好きなのは「Ride on!毎度/カワイイだけで大好きさ/ハイファイ/ローファイ/俺はそれを愛と呼ぶよ」というところですね。この「俺」くんとやら、チョロさがちょっとかわいいですね。

 

18,ベビーフェイス

スピッツは「エンドロールには早すぎる」とか、なにか妙に懐かしさを感じるパロディアスな楽曲をちょくちょく作りますが、この曲もなんとなくそんな感じの曲な気がします。具体的になんのパロディかはよくわからないのですが。

これもメロディーが好きで選んだ作品なのであんまり語れなくてアレなのですが、歌詞の好きな部分をあげると二つくらいあって、サビの「Bye bye/ベビーフェイス/涙をふいて/生まれ変わるよ Yeah…」と「隠し事のすべてに声を与えたら/ざらついた優しさに気づくはずだよ」とかですかね。いやふつう隠し事のすべてに声を与えようと思わないし、優しさにざらつきがあるなんて思いもよらないですよね…でもいわれてみるとなんとなくわかる。うーん不思議だ。

 

19,つぐみ

これもなんかの主題歌だった気がしますが、忘れました。とにかくメロディーというか、音の作り方? が好きな曲です。でも歌詞はふつうぐらいなので、ここであげた20曲の中でいちばん語れない曲かもしれないです。聴いてくれ、という感じですね。

 

20,雪風

少し不穏で、なにかの終わりを前にしているような気分になる、寂しい曲です。でも独特の世界観があってすごく好きな曲ですね。最近(『とげまる』〜『醒めない』)のスピッツの曲の中だと「みなと」や「醒めない」と並んで好きかもしれないです。つまりこのアルバム(『醒めない』)が良すぎるって話ですが。

まず、いきなりこんな風に始まります。「まばゆい白い世界は続いてた/また今日も巻き戻しの海を/エイになって泳ぐ」。いやエイて。でもなんというか、いきなり謎めいていて不思議な気持ちになりますよね。巻き戻しの海というのはループものっぽさを感じますが、どういうことなんだろうとか。白い世界ってなんだとか。ちょっと飛躍した解釈をすると、死後の世界っぽい感じもします。実際、このあとのくだりで「もう会えないって/嘆かないでね」というところとか、思い出を全部過去形で語ってるところとかがあって、なんとなくこの語り手はもう亡くなってるのかなという感じがする。

一番好きなくだりは「お願い夢醒めたら/少しでいいから/無敵の微笑み/見せてくれ/君は生きてく/壊れそうでも/愚かな言葉を/誇れるように」とかで、なんとなく胸に刺さります。

終わり方も唐突で、あんまり他にないようなタイプの曲です。でもスピッツらしさは結構あるかな?

 

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以上、思いついた順にいろいろ語ってみました。こうしてみると音楽素人感がよく出ているなというか、もうこれスピッツの楽曲じゃなくてスピッツの歌詞について語る記事でよかったんじゃないかという気もしますが…まあいいか。