かんぼつの雑記帳

日々考えたこと、感じたことを気ままに投稿しています。更新は不定期ですがほぼ月一。詳しくはトップの記事をお読みください。

オタ活まとめ01(2018)

友人に影響を受けて今年見た・読んだ作品の総括などすることにしました。いや、やっぱこういう言語化・歴史化作業大事だよね、ということで…。

 

 

◯2018年アニメ

冬クール

ヴァイオレット・エヴァーガーデン

 京アニ堀口悠紀子キャラデザの影響からいいかげん脱したほうがいいんじゃないかとか思うわけですが、それはともかくやはりこの作品。京アニクオリティは毎度のことなのですが、それでもやはり映像がすごくきれい。とはいえ最後まで見てはいません(という作品が以後めっちゃでてきます)。

 本作は郵便局とか代筆の話なので、なんかこう(某大陸哲学的に)いろいろ面白い話だなあと思ったのですが、なんかいい話だなーで終わってしまった感。覚えてるエピソードもあまりありません。なんか泣いたりしたんですが、やっぱり涙活的コンテンツ消費は話を忘れますよね。カタルシスー。

 マジレスをするとこの作品はちゃんと腰を据えて見るべきでした…。

学園ベビーシッターズ

 地元の友人に勧められて見たのですが、見はじめてまっさきに僕の胸にこみあげたのは、コンテンツの内容云々よりも、「友人、おまえどうした…?」という困惑の思いでした。どうやら虎太郎くんにほだされたらしいのですが、ちっちゃい男の子のかわいさにほっこりして少女マンガ原作アニメを見てしまうようなハートウォーミングな人間だったとは露知らず…もっとこう、ゲームのやり込みに血肉を捧げてハートウォーミングのハの字もなくなった荒んだオタクの成れの果てみたいなやつかと思っていました(言い過ぎ)。人って長年の友人でも知らない意外な一面を持っていますよね。

 で、本編について一応言っておくと、これは僕は全話見てます。やっぱり少女マンガって肌に合うんだよなあ、とか思いつつ。こどもたちも可愛いし、ヒロインも男たちもいいやつらだし、なんか優しい世界だなあと思いました。優しい世界に浸っているだけではいかんなあ、とも思いましたが。あと個人的に狼谷兄弟のお母さんというか狼谷先生がめっっっっっっちゃ好みなんですけど、わかってくれる人いますかね…?

ダーリン・イン・ザ・フランキス

 途中までしか見てないですね、これも…いや全話見る気はあります。

 これは後述する『SSSS.グリッドマン』とおんなじで、エヴァの影響が露骨だし、色が綺麗だし、A-1とTriggerが組んでやったという点ですごく興味深いし、(かつてエウレカセブンアネモネが好きで好きでたまらなかった中学生時代を過ごしたので)ゼロツー可愛すぎるし、いいアニメなんですが、やっぱ僕シリアスものは一気見したい人で、こういうのって週放送でみるのつらいんですよね…。

 実はこの作品についてはいろいろ論点があって超面白かったので、三島由紀夫の『文化防衛論』とかフロイトの『快感原則の彼岸』とか伊藤計劃の『ハーモニー』とかと絡めつつめちゃ壮大な作品論を作る予定があったんですが、なんかそういう三島がどうとかフロイトがどうみたいなことをいってタームとか使って賢しらな論を書いてもなんかドン引きみたいになるし、まあ書かなくていいかみたいな気になってるのですが、ただ作品論というか考察記事そのものについてはそういう話は全部抜きにしてコンテンツのなかのはなしだけを丁寧に掘り下げつつ書ければなあとぼんやり考えています。そのためにCONTINUEのダリフラ特集号も買いました。これが「全話見る気はあります」の意味です。

 でも、この作品で僕が個人的に好きなのは上述のこともそうですが、やっぱりいちばんは田中将賀のキャラクターデザインなのかなと。なんか『あの花』くらいの時期の田中将賀はぜんぜん好きでなかったというかむしろなんだよこのぬぼーんとした顔ともにょっとした線の髪の毛はよう! とか思ってたんですが、『じょしらく』あたりからだんだんと、「あれ…なんかよくね?」となりだし、『君の名は。』とか本作とかのキャラデザに至ってはどストライクな感じで、あーなんか絶妙なバランスで成り立っていてほんとうに美しいなあと思いました。とくにゼロツーが。

BEATLESS

 僕の友人たちがすごいハマり、本作のレイシアというヒロインを参照しながら(?)「常勝ヒロイン」なる謎の概念を生み出してたりしていたアニメ。僕は常勝ヒロインなるものの外延も内包もよくわからないしその魅力もよくわからないので、逆に興味があって、そういう意味ではその最たる例が出ている本作も見なければならないのですが、紅霞が退場する手前までしか見てないんですね…。あとTwitterのTLで僕が観測しているべつの界隈、伊藤計劃あたりの日本SFとか機龍警察シリーズを好きな人たちが最初集まってできたと思われる謎の界隈(探ヘク界隈)などはいかにも好きそうな話だなとか思いながら見ていました。

 そのうち見たい。

ゆるキャン△

 みんなゆるキャン△好きだよねーという感じで見ていました。なんか全体的に作りが丁寧だしキャラクターも可愛かった記憶があるのですが、なぜか切ってしまった。見てもいいし見なくてもいいみたいな作品だったのかもしれません。個人的にはしまりんが好きです。

 春クール

ヒナまつり

 このアニメほんとにいったいなにがやりたかったんですか?(いったいなにがやりたいのかわからないアニメが好きな厄介オタク並みの感想)

 無駄にいい作画とナンセンスギャグと独特の世界観に引き込まれたのかなんなのか、結局最終話まで見てしまったのですが、あえてその最大の魅力を言語化するなら描かれている人種が面白いということになるのかもしれません。繁華街のバーテンとかヤクザとかホームレスとか、なんかそういうちょっと周縁的な人たち? が多かった気はします。とはいえ、中学生とかその学校の先生とかも出てきたりしたんですが。

 あと主人公のヒナをはじめとした劇中に出てくるクズどもの描写が妙に生々しくて、この原作者の人間観と人生が気になりました。

 夏クール

 あそびあそばせ

 Twitterでなんども言っていますがこういうアニメを好きになるような人間は品性下劣であり、来し方を振り返って自分がなぜそんな人間になってしまったのかということをしっかりと悔い改めるべきではないかと思う。とはいえ全話見てしまったしめっちゃ好きでした。まあこういうね、なんか好きなものをあえてけなしていくタイプの一周回った称賛はかっこ悪いしよくないなとは思うんですが、でもやっぱりこの手の好みを自信満々に公然と口にするのは良くないと思う。なのでブログでこっそりひねった表現で表明せざるを得ない。

 個別のエピソードは覚えていませんが、やっぱアポクリン汗腺のくだりは試されている気がしました。というのも、僕は実はここ数年「ふつう不快なものが好きなものとセットで出されると、人はその不快なものを組み合わせや錯覚で好きになってしまうのではないか」説を個人的な仮説として半信半疑で提唱していたのですが、どうやらこれが当たっているかもしれないと、今回オリヴィア(好きなもの)+アポクリン汗腺(ふつう不快なもの)の組み合わせを繰り返し鑑賞しているうちに思ってしまったわけですね。つまり「あれ、ワキガ美少女いいのでは…?」という…やっぱりこういうふうな下劣な人間になってしまうのでこのアニメはほんとうによくないんだなあと思います。

 個人的にはオリヴィア兄妹と華子の喪女ネタおよび木野日菜さんの体当たり演技が大好きです。二期があったら絶対見るぞ!

少女☆歌劇レヴュースタァライト

 わかります。

 というか僕はやっぱり輪るピングドラムが大好きで、あとあれのキャラソンアルバムというかHHHのカヴァーアルバムはガチ名盤だと思うしああいう音楽ばかりが巷に溢れていれば僕の音楽生活ももっと楽しいものになっただろうなくらいのものなんですが、それはともかくとして、やっぱりイクニ節を受け継いだスタッフが制作した作品なので、やっぱりある程度は好きなんですね。ただ、これはtwitterで友人と話していても思ったというか、これは二人の一致した見解なんですが、なぜかそこまで好きになりきれなかった。百合だし、色綺麗だし、作画安定してるし、キャラデザいいし、微妙にループものでもあるし、イクニ節だし、好きな要素しかないんですが…これはいつか考えてみるべき問題かもしれません。

 あと僕は「わかります」より「バナナイス!」の方が好きです。ばななちゃん凛々しいのに可愛くて最強すぎないですか? 身長が高いのもいいよね。

 秋クール

SSSS.グリッドマン

 いわずとしれた今年度最高峰の百合作品。尊い~。…Citrus? やがて君になる? いや、知らんがな(*政治的に正しい注釈をしておくと貶す意図はありません)。

 後半になってからがすっごい面白いよなあ、と思ったら、なんかすっごい少数派の意見なんですねこれは。エヴァのパクリで意味不明とか言われてるけど、逆にエヴァの呪縛に囚われないでオタクやってる奴らってなにが楽しくてアニメ見てるんですか? ちょっと僕には理解できないですね。

 

 まあそれはともかくとして、この作品の物語については上記の別の記事で書いてるんでこれ以上言及しないとして、それ以外の魅力をあげると、やはり色がビビッドで綺麗ですね、第一に。色が綺麗な画面を作るアニメって全般的に信用できると思うんですよ。アニマスとかね。

 それから、僕は(なかばオッサンの領域に片足を突っ込んだ)男の子なんですけど、残念ながら合体!とかメカに興奮する人間ではないので、グリッドマンや怪獣のデザインなり動きなりがどうみたいなのってあんまり見ることができていなくてですね(公式twitterではいろいろそこらへんのこだわりについて書かれていたりCG作画を担当なさった会社? のpostがRTされていたりして面白かったです)、どちらかといえば作劇の雰囲気というか、あの高校生たちのけだるい感じとか、リアルっぽい会話劇がなんともいえずよいなあとか思ってみていました。ただああいう作りかたって先が気になるタイプの作劇の仕方とどうしても噛み合わない気がするというか、だからやっぱ一旦切っちゃったというところがありますね。これは僕が悪い。

 あと一つ気になったのが、たまになんか演出が変だなと思う時があって、怪獣とグリッドマンが戦っている時に流れる音楽がやけにしらけた感じがしたというか、そのタイミングでそれ流されても僕別に熱くならないけど…みたいな音楽の使い方が多かった気がします。なんでだろう。まあ熱くなって欲しかったかどうかはわからないんですけどね。

青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない

 まず文句からいうとやっぱりいくら冗談でも空気読めててあえて空気読まないんだとしてもセクハラはよくないと思うよ咲太というのがあります。ただでさえ美少女ゲーム方式ハーレムラノベ方式なわけだし。やっぱり女の子を男の子主人公が救う構図ってただでさえウエメセなわけじゃないですか。なんかそういうのでセクハラ…いや当人たちの信頼関係が成り立ってるならいいのかもしれませんが。

 とはいえ、僕は結局そういう構図を前提しつつも真剣に悩んだりなんだりしている美少女ゲームやハーレムラノベが好きだし、その点では青ブタって真面目に作られてるなぁ感じるし、そういうところがこのアニメの好きなところだったりします。

 それから作画方面について言及すると、このアニメはキャラクターデザインがすごい。何がすごいかというと、溝口ケージの原作絵をめっちゃアニメ向きに美しく作ってるんですよ。プロポーションもいいし顔もいいし線もいい。何年か前にさくら荘がアニメ化されて、あれはあれでいいと思うんですけど、今回のキャラデザは完璧だと思います。そんなわけで今回あらたに田村里美という固有名詞を覚えたんですが、この人はヴァルヴレイヴの作監とかやってたんですね(作画wiki仕入れた浅い知識)。

 そしてヒロインの話をすると、やっぱり僕は桜島麻衣先輩が素直に好きです。なんかこれはポンコツだからとか陰キャだからとかそーいうしょうもない一周回った嗜好ではなく、お姉さんで大人っぽくて綺麗で、だけど恋愛にはうといからそっち方面ではちょっと隙があって可愛いといった要素があるからで、これマジで理想の彼女じゃないですかと素朴に思うわけです。まあでもこういうのいないからね、ちゃんと現実見ていこうね。

ゾンビランドサガ

 いくつか個人的に供給に飢えているものがあって、たとえばTSおよびTSFものとかそうで、けんぷファーとかあんまよくないし、俺ツイも作画崩壊がひどいという、なぜかTSおよびTSF方面のものって供給少ないしクオリティもよくないものが多いんですよね。で、そういう個人的に供給ねえなーと思うもののひとつにゾンビ美少女ものというのがあって、パッと思いつくのが『さんかれあ』ぐらいという(ほかにもあるけど)。なお、僕は正統派ゾンビ好きにとっては発狂ものだと思うんですがゾンビとかどうでもよくてゾンビ美少女が好きなだけなので、ロメロとかは全く見てません(もしかしてここでロメロとか言い出すのがにわかだったり? こわい)。見なきゃなあとかは思うんですが。とりあえずユリイカのゾンビ特集号は買ったので、これで勉強しようかなと思います。

 で、そんなわけで『ゾンビランドサガ』です。ただはっきりいってこのアニメには期待を裏切られました。やっぱり僕の本作品についての初めての体験って(当たり前だけど)1話だったわけで、あの1話が好きだったからこそ続きを見たのだし、あの1話の感じで全てが進行してくれたらよかったんですが、残念ながらそうではなかった。

 ただ、やっぱり見ていくとそういうことではなかったんだなというか、この作品っていうのはいろんなものがごったまぜになっていて、毎週何をやるのかわからないところが面白かったんだなと。そういう意味では、当初の期待とは別の意味でものすごく楽しめたし、なんか作品の出来とか関係なく(これは出来が悪いという意味ではないです)、純粋に好きだなあという世界になっていて、これはなんだろうか、愛着みたいなものが湧いてきた感じでした。今となっては全てのキャラクターが愛おしいです。

 ところでシリーズ全体の構成について話をすると、僕の感覚では、このアニメは全12話を1/2・3・4・5/6・7・8・9/10・11・12というふうに区切ることができるかなと。1話はまず出オチ芸ですね。それから5話までは比較的ギャグ要素が多く、各キャラの絡みを見せたりするところが多かった。それから6~9話は一部キャラの過去掘り下げ回。そして10~12話はさくらの過去に絡めてクライマックスを作り、伏せられていた謎を明かしたり、伏線の一部を回収して終了、といったような感じでしょうか。僕が本作のなかであまり好きではないのは3話と9話で、他は大体横並びぐらいで好きですが、やはり一押しはtwitterでも一部で話題になった5話の幸太郎と愛ちゃんの絡みです。この回の種田梨沙の「はいはいサガジェンヌサガジェンヌ」と舌打ちはなんだか不思議と人を惹きつけるものがあるし、その前後の流れも妙に心に残るものだった。なんかたまにこういう何がいいんだかわからないんだけど妙に心に残る場面ってありますよね。もう180度違う例なので申し訳ないのですが、個人的にそれだなと思う別の例をあげておくと、『ゴッドファーザー』の最初のやつの、マーロン・ブランドが孫と追いかけっこしてる時に死んじゃうシーンです。あれはなんか奇妙に印象に残っている。というか、そういうことを最初に言ったのは大学の友人なので、僕はそういう目でこの場面を見ているだけなのかもしれないですが、それはともかく…。

 それで『ゾンビランドサガ』にはいろいろ魅力があると思うのですが、それをあえて一言でいってしまえば、ごった煮感、雑居感なのかな、と思います。

 たとえば、迂闊にも魚拓をとってないのでここで引用することはできないんですが、境監督がtwitterで、「やっぱり人の感情って意外と正反対に思えるものでも同居しうるものだし、人って悲しいだけの時とか、楽しいだけの時ってない。今回の作品ではそういう発想を演出に反映させている」的なことを言っていて、ああそうかこれは監督がわかってやってたことなんだ、と感動した記憶があります。これって一体何のことかというと、たとえば12話でライブに臨む気概を失ってしまったさくらに「あなたがいたからこれまでやってこれたんです」的なことをいいつつ良さげなムードを醸してほかのメンバーが励まそうとしたくだりがあったんですね。まーこれマジでよくある展開だなというか流れだよなあというのはよくアニメを見る人なら(とりわけアイドルアニメには多いと思う)わかってくれると思うんですが、ところが『ゾンビランドサガ』ってそういう流れをばっと断ってしまうんですよね。「いや、そういうのいいから」みたいなことをさくらがいうわけです。要するに、ひとつのムードに収束していきそうな時に、つねにそこに流されていないキャラがいたり、別のムードが侵入してきていたりして、それが『ゾンビランドサガ』特有の泣いていいのか笑っていいのかわからんみたいな空気を作り出している。他の例を出せば愛ちゃんとかリリィの死因とかがこれですね。たぶんこれ、ふつうの視聴者は困惑するし、そういう場合人ってしばしば「いやこれは泣ける話なんだ」「いやこれは笑える話なんだ」って、一つの解釈コードというか、一つの解釈ムード? にコンテンツ理解を収束させようとする傾向があると思うんですが、この作品ってそういうのをバラしちゃうんですよ。そもそもゾンビ美少女というのがそういう存在で、生きてるか死んでるのかわからんし、可愛いけど不気味だし。それからたとえばよく死後ネタをメンバーがいうわけですね。「死ぬ気で頑張れ!」「いやもう死んでるから」みたいな。こういうナンセンスギャグにあらわれる収束できないいろんなコードやいろんなムードのごった煮、雑居というのが、このコンテンツでは様々なところに散りばめられている。僕はこれが『ゾンビランドサガ』の一番の魅力だと思っています。これさっきのエヴァ語りにも通じるんですが。

 とはいえ、やっぱりこの作品はいくつか問題がある。ひとつは脚本がたまに雑なこと。それからもう一つは作画が安定しない。とくにたまに手や指の描写がいやそれ手じゃないでしょ、みたいなのがあるなあと。でも深川さんのキャラ原はもうこれすっごい言われていることだと思いますが最高です。

 あとゆうぎリリィ尊いとかモブが素晴らしいとか純子のイケボ好きとかいろいろ言いたいことはあるんですが、これ以上語ると長くなりすぎるのでやめます…。『ゾンビランドサガ』はいいぞ。

ひもてはうす

 てさぐれとかああいうのが好きな人ならまず間違いなく好きだと思われる短時間ナンセンスギャグ3DCGアニメ枠。声優がキャラをロールプレイしつつほぼ素で喋るいつものパートもありました。

 とにかく小ネタが多かったし、唐突な展開もあったりして、その実験感が面白い作品ではあったのですが、後半は若干失速気味だったかな。

 なんか見たい見たいとも思わずなんとなく見てしまった不思議なアニメでした。EDでの他アニメ作品のキャラクターのコスプレをひもてはうすの面々がおこなっている映像を見ながら毎回作品名を当てては大はしゃぎするバカなオタクをやれたのは楽しかったです。

 

◯その他アニメ(こっちは最後まで見たアニメだけ載せます)

PSYCHO-PASS(一期のみ)

  いやなんかすごい面白かったし、天野明のキャラ原すこだなあと思ったのですが、なんか作画がなあ、と。

 虚淵玄って社会をどう描くんだろという興味を持って見たのですが、その当初の興味を忘れて完全に普通に見てました。でもなんていうか、設定とか話の運びとか、やっぱりユートピアにみせかけたディストピア、みたいな近未来社会を描くときのSFのいつもの感じだなという感じで、個人的にはそこまで面白みを感じなかったかもしれない。いやもっとこのコンテンツならではのユニークな視点や面白さがあるんだよ! という人がいたら教えていただけるともっと面白く見られるかも。

 やっぱりあんまり面白くなかった原因の一つには槙島聖護の設定の問題があって、この人めっちゃ社会の異分子でカリスマのあるかっこいい奴みたいに描かれてるんですが、語ってることは超古典的で、新奇でも特異でもなんでもないんですよね。ようするにこの社会って全部シビュラシステムが人の人生を決めてくれるしそれが最善だとみんな思ってるので個人の主体的な選択の意志が意味なくなっちゃったよねっていう社会で、槙島聖護はそれに対していややっぱ個人の主体的な意志でしょみたいな話をしているわけですが、僕としてはそういう問題なのかなぁとか思ってしまったところがあります(とはいえ本作を分析してるわけではないのでとくに代替案みたいなのは出せないんですが)。でもよくよく考えていくとたぶんいろいろ面白い論点が引き出せるはずだし、これはたんに僕がこの作品をちゃんと見れてないからなんだろうなとも思うので、評価は保留という感じでしょうか。

 あと1クール目のOPがかっこよすぎる。

サクラクエスト

 これは別の記事でも書きましたがあの記事はダメですね…というかここのほとんどの記事がジャンクパーツみたいなものばっかりなんですが…。

 そこでも書いた気がするのでもしかしたら繰り返しになるかもしれませんが、このアニメはPAが作っているお仕事シリーズ的な名前のシリーズものの三作品の一つで、ほかには『花咲くいろは』とか『SHIROBAKO』とかそうそうたるタイトルが並んでいるなか、一番地味でそしておそらくBD売上枚数的な意味でも地味なのが本作です。とはいえ、僕はAIRClannadKanonでもKanonが一番好きだったりする変な奴なので、見ていない『SHIROBAKO』はともかく、『花咲くいろは』と比べるとこっちのほうが好きだったりします。ただ『花咲くいろは』自体がものすごい好きな作品なので、これは「お前が弱かったんじゃない、俺が強すぎたんだ…」的なあれですね。でもたぶんこの意見は少数派で、ほとんどのひとは『花咲くいろは』のほうがいいというんじゃないかと思われます。

 じゃあなんで僕がそんなにこの作品に惹かれるのかというと、やはり各キャラクターの抱えている悩みがリアルだったというのがあるのと、その悩みが明確に解決されないところですね。個人的にはやっぱり問題がばっとはっきり提示されて、それがバシッと具体的に解決してはい終わり! みたいな作品が好きでないので、こう、うじうじ悩んだり時にその問題が日常の生活のなかで保留にされたりあいまいにされたりしながらも、様々なきっかけのなかでキャラクターが少しずつその問題に対する向き合い方を身につけていくみたいな、そういう話が好きなのですが、サクラクエストはまさしくそういう作品で、そういう意味で好みドンピシャでした(『花咲くいろは』がそうではないということではないです)。なんかそういう作品のほうがキャラクターに血が流れているというか、息づいているなあという気がするんだよなあ。

 それからやっぱりテーマの掘り下げがこの作品は丁寧だったなという気がします。テーマの掘り下げとかナイーヴなことを言いたくないのですが、まあそれはともかく、この作品は一つには地方をどう再生するかみたいなことをテーマにしており、そこで若干のファンタジーが入ったりはするものの、基本的にはその問題をすごくしっかり扱っているなあという気がしたわけです。僕はもともと社会性があまりないのでこういう問題ってあまり興味を持ったことがなかったのですが、この作品をみてちょっといろいろ考えさせられたなと。インバウンド事業とかこの作品で初めて知った言葉でした…。

 たぶん僕が今年見たアニメのなかでなにが一番良かったかと聞かれたら、悩みながらもやはりこの作品を選びます。青ブタの監督・脚本コンビだというのもありますが(逆)。

スカイ・クロラ

 かなり前にすでに見ていて、それ以来なんとなくまた見返したいなあと思いつつ見ないでいたんですが、先日あずまんの『セカイからもっと近くに』を読んだらスカイ・クロラセカイ系の文脈で論じた論があって、あやっぱり見ないとなと思って見返した次第です。前に見たときはなんのこっちゃ、まあいつもの押井守だったなという感じでもやっとして終わったのですが、そんときは哲学とかなんかあそこらへんの難しいやつをまったく勉強してなかったので、今そういう諸々を学んだ上で、そしてあずまんの議論を読んだ上で見返したら、うわーなんだこれすげえいいじゃん、と思ってしまったという感じで、やっぱり人って意味の枠組みのなかでものを見てるし、視聴者自身がちゃんと勉強しないと作り手がどれだけ頑張っていろいろな思いを込めて作っていても受け取れないし、そういう意味で本当にこの作品は難しい作品だったんだなあなどと改めて思うとともに、頑張ってきてよかったなぁとも思ったのでした。

 唯一問題点があるとすれば、あずまんの解釈が圧倒的に正しすぎて他の枠組みで見られないということでしょうか…これ答えだなって感じでうん…。

 ただ、あずまんが言及していないところで一点面白いところがあって、それは函南くんがティーチャーという彼らがやらされてる戦争のなかでラスボスみたいな位置にいる奴を倒しにいく場面で、彼がとあるセリフをいう箇所です。なぜかこのアニメときどきキャラの喋りが英語になる(コンバットシーンでは必ずなる)したぶん設定上は常に英語で喋ってると思うんですが、ともかく英語で喋る時には字幕が下に出るんですね。で、そういうとき、基本的にこのシーンに到るまでは、僕が聞いていた限りでは、そんなに(英語)音声と(日本語)字幕とで大きく翻訳的に表現が乖離することってなかったんですが、ところがこのシーンでの函南くんのセリフは音声と字幕とで全然言ってることが違うんです。具体的にどうずれているかというと、日本語字幕では「ティーチャーを撃墜する」なのが、音声では「I kill my father.」になっている。でそこに同一の意味を読み取っていくと、ようするにティーチャーは父なんだと、これは父殺しの物語であり、それに失敗しながらも反復し続ける物語なんだと、そういうことが明白に言われているということになるわけです。

 で、僕はデリダエクリチュールは父殺しであるみたいな話は読んでいないからよくわからないんですが、少なくとも物語論上の父殺しの意義っていのは明白です。ようするにそれは、ある不条理な状況を主人公たちに強いている、つまり彼らが物語のなかで解決すべき問題を構成している象徴的な一点を突破するということにほかならない。そしてセカイ系の感性っていうのは、こういう点を見出せないというか、それがあまりに強すぎるというか、いいかえれば社会だの個人だのの特定の問題を解決したって世界そのものは救済できないし、それが救済できなきゃもはやなんの意味もないような、そういうステージに我々の時代はきているんだみたいな、ざっくりいってそういう感性みたいなもののことなので、ああやっぱりこれそういう話なんだなと、そういうことを思いながら見た作品だったのでした。

 あとやっぱり西尾鉄也の服のシワがすこすぎるんだよなぁ。ナルトが原点なので…。

ストライク・ザ・ブラッド

 すごく面白かったんですけど僕的には語ることはあんまりないタイプのアニメでした()。見てスカッとして忘れちゃったやつですね…よくない(よくないのか?)。

Re:ゼロから始める異世界生活

 これは放映してた時にも見てたんですが途中からつらくなって見るのやめてました(豆腐メンタルなので)。でもやっぱこれフロイトとか考えるのにいいんじゃないかとか考え始め、頑張って見たという次第です(謎)。

 なんか見終わったときにはいろいろ語れることもあったのでしょうが、今となってはないですね。どうしても最近見終わったアニメのほうが色々語れる。ただ、なんかレムが都合のいい女すぎないですか????? というキレとラムのほうが可愛いのになんで世の中の人間はみんなレム可愛いとかいってるんですか????? というキレがあった気がします。

 あとやっぱりこの作者マゾですよね。やっぱヒロイン救いたい願望とマゾヒズムって関係あると思うんですよ。というか僕はここ数年そういうことしか考えてない節がある。

◯特撮(これも最後まで見たものだけ記載)

仮面ライダー鎧武

 やっぱ虚淵玄最高なんだよなぁと思った作品。これ僕的には虚淵作品の中でまどマギとかとおんなじくらい好きな作品です。そしてやはり虚淵玄の魅力っていうのはその独特のめんどくさい観念的な台詞回しの応酬にあるなということを再認識した作品でもあります。

 結構、話自体の構成も綺麗で、小さな共同体同士の小競り合いから始まり、大企業との戦いに移行し、最後に世界を滅ぼす力をめぐる争いに到るというステップを踏んで進行するという感じですんごい美しいんですが、そうしたステップを踏んでいく中でいろんなことを考えながら自分の生き様を見つけ貫こうとするキャラクターたちもまた魅力的でしょうがない。これはまたサクラクエスト式のキャラクター造形とは違った描き方だと思いますが。とくに僕が好きなのは仮面ライダー龍玄(高杉真宙が演じています)で、この人の闇落ちがめっちゃ綺麗なんですよね(謎の褒め言葉)。綺麗な闇落ちを見たい方、仮面ライダー鎧武は必見ですよ。

 ただ、結末自体はそんな好きでもないかもしれない。虚淵作品はやっぱりセカイ系的というか、圧倒的で根本的な不条理を物語上に仕掛けられたある一つの特異点を使うことで内破するとかそれに失敗してぐぬぬってなるみたいな話が多い(まどマギとかF/Zとか)のですが、今回もそういうやつで、禁断の果実がそれにあたる。ただ僕は最近そういう虚淵的崇高が昔ほど好きでなくなっているので、昔見ていたら結末に対する評価は全然違ったかもしれません。

 あと鎧武の格好については個人的には最初のオレンジアームズが一番好きでした。ゲネシスドライバーより戦極ドライバー派です。

◯映画(なんか色々見すぎたので覚えているやつだけ記載)

イェルマ(秋頃視聴)

 もともとガルシア・ロルカの戯曲が原作で、それを現代風に脚色して上演した劇を映像で撮ったものを映画として配給しているみたいなちょっと複雑すぎてよくわかんないやというコンテンツです。僕の狭いアンテナだと絶対こういうのは発見できないと思うんですが、友人のサブカルクソ女が教えてくれたので見に行きました。

 おもな感想としては二つあって、両方とも作品の内容に踏み込んだものでないのであれなんですが、まず一つは劇の喋りって映像で見てるとよくはいってこないなということです。生で演劇とか見に行ったことがないわけではないのでそのときの経験に照らして考えると、やっぱり生で見てるときにはたいがいセリフってふつうに聞き取れているんですが、劇場で見ると最初ちょっと早すぎてついていけなかった。少なくとも最初はすこし困惑した。いや字幕というのもあると思いますが、もしかすると日本語音声でも同じことが起こるかもしれない。

 それからもう一つは、演劇ってけっこう感情的に疲れるなというので、映画っていうてそこまで感情がぶわっと揺さぶられることってないと思うんですが、演劇の場合(内容のショッキングさもひとつの原因ではあるけど)やはり役者の演技がすんごいエモーショナルなので、心にキてしまうんですね。これ生だったらすごい疲れただろうなと思うと、なかなか新鮮な体験だなあ、と思いました

 でもこの作品は二度は見たくない…めちゃつらい…。

ウィッチ(夏頃視聴?)

 ホラー映画が地味に好きなのであーまたなんかみたいなと思って見たらとんでもなく良い作品でした。17世紀のアメリカが舞台になっているのですが、その世界観を演出するための舞台もろもろの作り込みがすごいし、エイリアンだのサメだのでうぎゃー! というよりかは、じわじわと嫌な気分になってくる系、みんながだんだん狂っていく系のホラーで、すごく独特でおもしろかったです。Jホラーともまた違うというか、これは割と新しい恐怖体験なんじゃないかなと(そうでもない?)。それからちょっと耽美系だったかな?

 わりと向こうの人たちが見るといろんな文脈から問題意識を喚起されるような作りになっていたらしく、僕は残念ながらほんとうにそういう教養がなくてわからなかったのですが、そういう意味でも面白いと感じる人はいるかもしれません。僕も一応魔女論とか一時期勉強してたんですけどね…。 

ディア・ハンター(冬頃視聴)

 実は『SSSS.グリッドマン』の記事で真面目とか不真面目とか書いてるあれが間接的にディア・ハンター論になっているのですが、それはなぜかというと、この作品ではデニーロ演じる主人公にとって鹿狩りの意味がベトナム戦争の経験を通して変わってしまうからです。彼はベトナム戦争で敵国の兵士の捕虜になり、彼らのロシアンルーレット遊びの犠牲者にされるのですが、ここではまさしく真面目と不真面目が重ねられている。彼はその前までは鹿狩り(鹿の命を奪う行為だが、同時に遊びでもある)をたんなる遊びとして楽しむことができていたのに、この経験のあとではこれができなくなっている(重ね合わされている)。そしてそれは彼がベトナム戦争で心の傷を負ったがために、故郷の街に帰ってきてもなぜか帰ってきた感じがしないという、その感じと結びついているように思えます。

 見る前はわりと話が複雑なのかと上映時間から察して予測していたのですが、どちらかというと筋自体はシンプルで、そのかわりものすごく場面場面の描写が丁寧で、これは映画館で見ないと一生見ない奴だな…と思いながら見ました。いややっぱ刺激とか速度がないとものが見られないというのは悲しいことですね。でもそういう意味では今回4K上映というがっぷり四つに組んで見る機会が与えられてほんとうによかった。あと有名な劇中のBGMが美しいですね。

プラダを着た悪魔(冬頃視聴)

 これは記事がすでにあるので省略します。

 

 小説編と漫画編とドラマ編とかやろうとしたんですがもう無理ってなったのでやめます。これつらすぎる。力尽きた。